デンマーク夏期研修旅行の報告

えひめ北欧から学ぶ会

前田 優子

 デンマークの首都コペンハーゲンから車で4時間ほどのユトランド半島にあるオーフス(Århus)という街に、エグモント・ホイスコーレンという名前の学校があります、デンマーク特有のフォルケホイスコーレンという、学歴や資格を問わない、成人のための自由な学校のひとつです。エグモント・ホイスコーレンはそうしたなかでも、健常者と障害を持つ人が共に生活をし、学ぶことのできるデンマークでもめずらしい学校です。昨年の4月この学校の生徒が松山を修学旅行で訪れました。そして今年は松山から11人のメンバーが、毎年この学校が夏に開催している1週間の夏期講習に参加しました。この夏期講習は本来デンマークの障害者のために開催されているものなので、従来の日本人だけの施設見学中心のツアーと違って、デンマークの障害者と1週間生活を共にし、共に学び、遊んで交流を楽しみ、福祉先進国デンマークの生活を実感することが出来ました。

 夏期講習の内容は、午前中が外から講師を招いてのデンマーク語での講義、午後は絵画などの創造活動やスポーツ、夜は交流会となっていました。日本人は午前中のデンマーク語での講義は参加しても言葉がわからないのでこの時間に施設見学やデンマークの社会制度についての勉強会がありました。

 午後の創造活動は、絵画、ガラス、装飾品創造、料理、ローカルバスツアー、屋外スポーツなどがあって各自希望のクラスを選びました。

講習は7月26日から8月1日の朝までありましたので日を追って内容をご報告します。

     第1日目  7月26日

8時にエグモント着。その日は松山以外に

大阪と福島から参加している日本人もいたので

日本人の参加者だけで自己紹介し、あとは各自

の部屋で休みました。

 

★ 第2日目  7月27日

【午前中】 知的障害者のアクティビティセンターとグループホーム見学

エグモントから車で30分ぐらいのところにある

オダー市のフェーボスという施設を見学しました。

知的障害者ばかり130人が働いている大きなアク

ティビティセンターで、隣接のグループホームに

45名が住んでいます。9時ごろに出勤して3時

まで仕事をします。知的障害者のスタッフもいます。

利用者の組合もあって代表者もいます。

 

 

       アクティビティセンターの仕事内容(利用者78名  スタッフ13名)

1、屋外グループ  庭の手入れなど 利用者10名  スタッフ2名

2、食堂(食事、おやつ作り)とランドリー  利用者6名  スタッフ2名

3、コンピューターワークショップ  新聞作り。インタビューをしたり、写真をとったりします。週1回発行。  利用者7名  スタッフ1名

4、作業所グループ  

森のグループ 木を切ったりストーブ用のまき作りをします。

芝生グループ  市の敷地や民間企業の請負をして芝生刈りをします。

市の中心にある作業場で自転車の修理や鳥のえさ小屋づくりなどをします。創造的な活動をするグループと修理などをするグループがあります。

5、重度重複の人たちのグループ  とても障害が重いので

作業というよりは感覚刺激を与えたりしています。感覚刺激

というのは、目が見えず、耳が聞こえない人でも触った感覚は

わかるので、温かいボールを使ったりバイブの刺激を与えたり、

あるいはにおいをかがせたりします。重度の障害があっても

個人の意思を尊重し、尊厳ある生活をおくるためにはどうすれば   まき作りの様子。

いいかをたえず考え研修しています。 

利用者10名  スタッフ フルタイム2名  パート 1名      

 

       作業から得られる収入について

まずデンマークでは、障害者の生活は基本的に障害者年金でまかなわれています。施設の収入としては、県、市からの助成金と施設が販売や作業で得た収入があります。そして支出として、スタッフの人件費、建物の維持費がありその残りを利用者におこずかい程度、給料として渡しています。

 

       利用者について

年齢は18歳以上平均40歳ぐらい。最近83歳の方がなくなりました。仕事場を変わりたいときなどは、社会サービス法で定められているコンタクトパーソンと話し合いをもち職場をかえたほうがいいとなればかえることができます。利用者の代表8名が、月に1回スタッフリーダーと話し合って希望、要望をだしています。またスタッフの新規採用者を決める時には利用者の代表も加わります。施設長、施設長代理、各セクションの代表者、利用者の代表者の話し合いでものごとを決めていきます。 

 

       グループホームについて

ひとつの住居ユニットには9人が住んでいます。自立度の低い人たちの住居なので各部屋にリフトがありました。部屋は個室でキッチン、バス、トイレは共通でした、スタッフは日中午前4人、午後4人、夜2人でした。部屋はとてもおしゃれでさすが洗練されたデザインで有名な北欧だけあると思いました。

 

 

 

 

 

 


プライベートルーム       トイレ・バスルーム         キッチン

 

※  利用者のプライベートライフについて

 利用者のなかで結婚したいという要望があればどうするかという質問について 施設内でカップルはよくできるが、三角関係になった場合セクションをかえたりという配慮はします。特別な関係になった場合は性教育の指導もします。という回答でした。

 

【午後】 

 各自の選択したクラスに分かれてデンマーク人といっしょに講習を受けました

左の写真はガラスのクラスの様子です。

デンマーク人も含めて10人ぐらいのクラスでした。ガラスを自分の好みの大きさにきれいに切るのがむずかしかったです。

 

 


 右の写真は装飾品作りのクラスです。

ビーズやさまざまな小物を利用してネックレスや

イアリングなどのアクセサリーや室内のインテリア

を作ります。

 

 

 


                   左の写真は絵画のクラスです。

 

 

 

 

★ 第3日目  7月28日

【午前中】

デンマークの社会制度についての勉強会をしました。

講師はエグモントで教師をしており今回の講習を

企画してくださった片岡ゆたかさんです。

 

 


【午後】 各自の選択したクラスに分かれてデンマーク

人といっしょに講習を受けました。左の写真は料理教室

です。

     

 

 

【夜】 

交流会ということで夕食後ビール

の試飲会がありました。

 

 

 

 

★ 第4日目  7月29日

【午前中】 肢体不自由者施設見学

 エグモントから車で1時間半ほどのところにあるウスタースコーブン(東の森という意味)という施設を見学しました。ここは肢体不自由者のための一時的な滞在施設です。ここは二つのセクションにわかれていて、生まれた時から肢体に障害をもつグループと労災・事故などで後天的に障害をもったグループに分かれています。

利用者22名に対してスタッフ80名です。

指導員、保育士、社会教育士、PT(4名)、

OT(4名)、社会保健アシスタントなどが

います。指導員には居住セクションで働いて

いる人と作業所で働いている人がいます。

神経・精神科のスタッフも通ってきます。

また午後には放課後教育もあるのでその教師

も通ってきます。

放課後教育の内容は、デンマーク語、英語、社会オリエンテーション、算数、英語、演劇などです。

       作業所見学

私たちは生まれつき障害のある方たちの作業所を見学しました。16歳から25歳の

16名の利用者があります。学校を卒業後親から離れて自立するための支援をしています。QOLを重視し支援が過大になりすぎないように自分のもっている能力・可能性を伸ばせるように指導しています。

全国各地から集まり(居住している県が許可してお金をだします。)最初に1年間のプランをたてます。最大4年までいることができます。施設をでたあとは95%がグループホームに移ります。

 

n          木のおもちゃ作りをしているマリーさん

                  

25歳で4年います。以前エグモントホイスコーレンにいました。作業のほかにスイミングや乗馬の訓練を受けています。居住棟に3人で住んでいます。ボーイフレンドはいません。将来の夢はコペンハーゲンの近くのグループホームに移ることです。

 

n         木工

1040本のマッチ棒で時計作りをしていました。(右図)

自分でできない人の場合はリーダーが手をとって助けます。

この時計を作った人は1年間で時計と表札とあともうひと

つの時計の制作途中です。この時計は自分か家族への贈り物で

非売品です。どんなものを作るのかデザインやアイデアは

本人の希望をきいて本人のできるものを考えています。

 

あと電気製品の説明書の袋詰めなどをしていました。建物の外では園芸もしていました。

 

できてから40年たつ施設で伝統がありますが、若い人たちのニーズにそってかえる努力もしているということでした。

 

 

 

 

 

 

       居住棟の見学

4人の利用者にスタッフは6人います。7時から15時、15時

から23時という勤務になっています。食事の時間をどれぐらい

とっていますかという質問に対して、朝食は8時から8時45分、

昼食、夕食ともに1時間15分ぐらいの時間ですが、利用者に

合わせて時間の長さは調節しています。

9時から3時、4時まで作業をし、そのあとは、音楽を聴いたり

TVを見たり、街に出かけたりと普通の若い人たちと同じ生活を

しています。自分の生活は自分で決めることを学ぶ場となって

います。

ここの施設は古いのでトイレとバスルームは共同となっていました。

 

【午後】 各自の選択したクラスに分かれて

デンマーク人といっしょに講習を受けました。

右の写真は屋外スポーツのクラスです。

 

【夜】 交流会ということでキャンプファイアー

とデンマークの音楽を楽しむ夕べの会がありました。

 

     第5日目 7月30日

この日の日中は近郊観光でした。オーフスの街を観光するグループとレゴランドを観光するグループにわかれました。

 

【夜】 ジャパニーズナイトということで日本からの参加者とデンマーク人の交流会でした。日本人参加者は歌を歌いそのあと盆踊りをデンマークの方々といっしょに踊りました。

また日本から持参したおみやげを今回招待してくださったエグモント校や障害者団体の代表に贈り、そのあと講習参加者にはくじを作ってプレゼントしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


     第6日目 7月31日

この日は朝から講習参加者全員で船に乗って、小島にピクニックにでかけました。

 

 

 

 

 

 

 

 


    この船に乗りました。             船の船長さんです。

 

 

 

 

 

 

 


    小島の名前です          牛がのんびり草を食べていました。

 

                     人口が175人という小さな島でした。

                     午前中は天候に恵まれず雨の中のクルージングとなってしまったのですが、お昼を食べるころから天気もよくなり 帰りは快適な船旅でした。

 

 

 

【夜】最後の勉強会をしました。今までの施設見学や講習に参加する中でうまれた質問や

意見について話し合いました。

 

第7日目 8月1日

朝、夏期講習は無事終了し、私たちはコペンハーゲンに向けて出発しました。