今回は、田中さんのロシア訪問の報告とロシアからの留学生ナターリアさん(仮名)をお招きしての交流会でした。
田中さんは、民間の国際交流団体でロシアに昨年の7月末から8月前半にかけて訪問されました。
そこでは、通常1週間ずつのホームステイを2ヶ所で行い、計2週間現地に滞在しますが、今回は1週間のホームスティと10日のクルージングでした。ロシアにはまだクラブが少ないためだそうです。
今回、留学生のナターリアさんと知り合ったのは、ナターリアさんの母親がロシアのモスクワクラブの受け入れ代表であり、日本語を学んでいたナターリアさんが通訳として参加したことでお知り合いになられたそうです。
例会の最初では、我々えひめ北欧の参加メンバーがナターリアさんに日本語で自己紹介を行いました。
彼女は日本語が堪能で、私たちの日本語はほぼすべて理解されていました。
その後、田中さんよりパワーポイントで写真を見せてもらいながら、ロシア旅行の報告を聞きました。
2003年夏に愛媛の民間国際交流団体からは約20名の方がロシアを訪れました。
印象的だった様子をいくつかご報告します。
☆空港について
国際空港とは思えないほど、狭くて設備が古いように感じた。
中にトイレがなく、パスポートを持っていかないとトイレに行けない。
(トイレは外にあるから)
外国人が大勢来ることを想定せずに作ったからこのようなつくりなのだろうかと感じた。
☆地下鉄は庶民の足
すごく深いところにある。
地下鉄へのエスカレーターはスピードが速く、お年よりは大変かも?と感じた。
駅はとてもきれいで、個性的。
一回券5ルーブル(¥20〜30)でとても安く、一律料金。
ホストは障害者?ということで無料だった。
先日、よく使った地下鉄でテロがあったが、ナターリアさんの家族の方は無事だったようだ。
ロシア人はこの安くて便利で速い地下鉄を足として毎日使う。
自家用車を持っている人は多くない。テロ後の様子がとても気になる。
☆エレクトリーチカ(郊外電車)
地下鉄と同様に安いが、窓が壊れたまま放置されていた。
☆ホストの団地
ものすごいアパートの数。鍵を渡されたが、自分でたどり着くのは不可能。我が家に入るのに3回鍵を使った。
セキュリティについては法律で決まったそうだ。
まず、建物(敷地)の入り口に鍵一つ目。次に、同じ階での共通の鍵。最後に家ごとに。しかし金庫についているような、複雑な操作が必要な鍵だった。
自宅のアパートの窓には全部鉄格子が入れてあった。
☆部屋
ホストの52歳の女性は、年金が月に約8000円。
5年前に息子さんを亡くしたせいか今は、二人の男の子に部屋を間貸ししている。
彼らのうちの一人の22歳の若者は月収3万円だが、これは平均以上であるようだ。
☆台所
料理は日本人好みでおいしかった。
水は直接は飲めないので、家庭用浄水器を使用。
☆団地の外観
迷うと戻れない。。。
ソ連のときはすべて国立。毎月レンタルで家賃を払っていた。
現在は国立、プライベートなど色々ある。
田中さんのホスト先は個人のもので、広かった。
1ルーム12畳くらいが2ルームあり、やや狭い部屋が1ルーム
1ルームは青年2人に貸している。
などなど、写真を見ながらの報告でしたが、
途中ちょっとしたイベントが・・・
ロシアで声楽を学んでいたナターリアさんから歌のプレゼントです。
「道」というタイトルの曲。ロシアは国土が広いから道はとても長いそうです。
一方、日本側からは福井さんによるお返し。山田耕作の「このみち」を披露していただきました。
お二人ともとても美しい歌声で、聴く者もうっとりしてました。
ナターリアさんからは、田中さんの写真を見ながら様々なロシアについてのことをお話していただきました。
以下は、例会の後半で特に皆さんが興味を持った内容です。
☆ロシア滞在中、田中さんは「日本の若者は将来についてどう考えているか?」と22歳の下宿している若者に聞かれた。
ナターリアさん曰く、ロシアで先日行われた大統領選挙。
若者の多くは、参加したくない。
なぜならロシアでの将来はないと考えているから。
5年前、資本主義はすばらしいと言われていた。
何でも好きな仕事ができると。。。
今は現実が見えてきた。
所得の格差、キャリアがないと出世が難しいなどなど。。。
☆老人ホームを見たいと希望したが、見ると悲しくなるから見ないほうがいいと言われた。
ナターリアさん曰く、それは本当に悲しいところ。
ロシア人は自分の親を老人ホームに入れることは、よくないイメージ、両親を裏切ると同じ。
家族がみるのが当然で、お金があれば医療が必要な人はヘルパーを雇う。
その背景には、老人ホームの設備が整ってないからではなく、
それらはすべて国立で、どちらかといえば設備はいい。
ただ雰囲気がかなしいから。
これはソ連時代からそういうイメージだった。
昔は金持ちの人々が助けてくれた。
最後の皇帝の奥さんが両親のないこのための施設を自分のお金で作ったように。
今は、お金持ちはいるけど、そんな人はいない。
社会主義当時も国がしていたというわけではなかった。
☆また、アルコール中毒の人が増えている。
おそらく、ストレスが原因?
民主主義になってから、男性は弱くなったかも?
女性はだんだん強くなり、独立している。
昔から男性上位ではあったが、日本ほどではない。
ソ連のときから法の下では平等だった。
しかし、女性が政界にはいなかった。
今、日本人とロシア人を両親に持つ女性が大統領制にも立候補していて、とても尊敬されている。
(ちなみに、例会はロシア大統領選前でした)
☆田中さんの印象に残ったこと。
・クルージング中の大学のA先生の話
あるメンバーが「ロシアは将来どのような国を目指すのか?
例えば、@アメリカのように自由な国
A中国のように、市場経済は取り入れつつも実験は共産党が握る国
Bヨーロッパのような国。」
とたずねたとき、その教授は「アメリカは自由な国ですか?そうは思わない。福祉の進んだスウェーデンのような国を。今、ロシアは振り子が揺れすぎている。」
そのような話をした。
その会のあと「私は実は昨年、スウェーデンに福祉関係のことを見に行った」
と言って、もっと彼女の意見を聞こうとしたが、彼女は話を逸らしてしまった。
会のとき、「大学の先生は、ロシアの若者についてどう思いますか?」という質問と「老人ホームの現状はどうなっていますか?」と聞いたが、彼女は道徳一般論に摩り替えてしまった。
自動車保険など事実を述べるのは実に雄弁であったが、自分の意見を言うのは避けたいのかな?と感じてしまった。
(後日談 ナターリアは彼女はあの時用心しました、と苦笑しながら言っていました。彼女のお母さんは電話で話す時気を付けなさいというとか。ロシアにいるとき現実を肯定的に言うのは簡単だけど批判的な発言はしにくいのでは?となんとなく感じるところがあった )
・B先生の話
1990年から銀行ができた。
しかしロシア人は銀行のシステムを信用していない。
スイス銀行など他国の銀行に預けている。
(豊かな人は)そのお金をロシア経済に回すべき。
お金を道手に入れたかという問題はあるが、それは聞くべきではない。
(クレジットカードは持っている人がいるが、すべて現金で、が普通。都会ではクレジットカード使えるが、田舎では全然ない。現金を家に置いている人が多い。だから、厳重な鍵??)
今のロシア政府の目標の第一は、お金をロシアに招くこと。(外国からの投資)
第二は税金の問題。
税金を払う人が少ない。税収入は少なくなっている。
(税金はとても高い。よって、小さな商店や病院などは税金を支払うのが本当に大変。税金を払ったらほとんど残らないのが現状。だから、できるだけ払わないし、払わないでも大丈夫な法体制になっている)
第三は関税の問題
ロシアの自動車工場は50年遅れている。
でも外国車は高くて買えない。
韓国の工場で部品を。組み立てはロシアで。
ロシアの自動車会社とアメリカのフォードが一緒に工場をという話もある。
そうすれば、ロシアの失業者が減る。
第四は自然を守ること。(地下資源は豊かだが公害なしの開発を)
メスデスバス。
ドイツと一緒に天然ガスを生産。
石油も豊か。イギリスと提携。
米も石油をほしがっている。(モルマンスク)
イラク戦争のあとキャンセル。
今、日本と中国に輸出したがっている。
第五は輸入問題
食料は輸入しない方針。
第六は失業問題。
大工場をロシアに作るべき。
日本とも提携をしたい。
北方浄土問題は会社提携の妨げ。
経済特区・協力地区にしたらいいと思う。
米ソ二大強国対立の構図が今はアメリカのみ。
アメリカは自分の嫌いな国に戦争を仕掛けている。
国連の役割が重要と思う。
(以上はモスクワ大学教授のはなし)
☆8年前にロシアを訪れたナターリアのホストの田中さんは、
8年前と比べ、車(日本車含む)・看板などが増えたと指摘。
クルージングも観光化され、お土産やさんも増えた。
以前のほうがロシアらしい感じはしたが、
食事など観光に対するサービスが進んだ。
国のイメージと庶民のイメージが違う、と感じた。
などと述べていただきました。
☆ロシアは芸術活動が盛ん。
例えば、音楽のクラスは週に二回ずつ位(小中学校)だが、
ロシア人の多くが楽譜を読める。
ナターリアさんは音大に行っていないが、
声楽をプライベートで学んだ。健康のために。
ロシアでは音楽を学ぶ人が多い。
楽器が出来る人も多い。
一方、日本では音楽を学ぶにはとてもお金がかかる。
ロシアでは生活が豊かでなくても、
子供の心を育てるために重視している。
☆最近ではアメリカの音楽などがたくさん入ってきている。
色々な人がアメリカの真似をしている。
自分の国のものを大事にしていないかも。
マクドナルドも売れている。
☆日本では特に英語や数学の勉強を盛んにさせる。
一方芸術面の科目は減っている。
ロシアでも今は同じような現象が起きている。
日本のように塾に通う子供もいる。
教育内容は学校ごとに違う。
ナターリアさんの卒業した学校は小学校2年生から英語クラスがあった。
ソ連のときは国で決められていたが、今は違う。
人気のある学校とない学校がある。
小学校から学校を選ぶことができるが、テストがある。
・・・権力者の子供が優遇かも??
☆1917年ロシア革命後90年くらいまでソ連が続いた。
社会主義がうまく機能していたのは、1930年くらいのスターリンのときがベスト。
ゴルバチョフからだんだんダウンしていった。
☆ナターリアさんは日本語を四年間勉強した。
日本の会社はロシアのマーケットにたくさん入るが、日本語を勉強している人は少ない。
もっと、日本との交流を深めていきたいそうだ。
などなど。。。
たくさんの話が飛び交いましたが、ナターリアさんのお話を基にして議論のあった箇所を抜粋して報告しました。
私は、この例会の後、彼女と県立美術館や内子などに一緒に出かけました。
いろいろなお話が聞けました。
私の印象としては、彼女はとても「純粋」な人でした。
ご自分が障害を持たれていて、それによる差別によって、いろいろなことを学んだようでした。
彼女が子供の頃、学校関係か何かの行事のスタッフに言われたそうです。
「君たちのような(障害を持った)者は昔だったら、崖から落とされていたのだ。」と。
これは彼女にとってコンプレックスが生まれる原因だったのかもしれませんが、
彼女の学習意欲を生んだきっかけだったのかもしれません。
「ロシアはこういった考え(福祉)がとても遅れている」と言われていました。
しかし一方で、「芸術」を学ぶことで「心を豊かにする」と誰もが思っている。
だから、日本と違って、裕福でない家庭の子供たちも音楽などを習わせるのが当然だ、と言っていました。
ナターリアさんは、大学のある東京に戻りました。
日本滞在は夏くらいまでの予定だそうです。
また、どこかでお会いしたいですね。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
次回4月の例会のご案内です。
4月13日火曜日午後7時から行います。
場所は、普段使用している部屋が取れませんでしたので、
今回は松山市総合福祉センターの4階介護研修室で行います。
お部屋を間違えないようにご注意ください。
内容は、愛媛大学法文学部助教授丹下晴喜先生より
「経済から見たスウェーデン」をテーマにお話していただきます。
丹下先生の専攻は労働問題、社会政策。
生まれは愛媛県新居浜市だそうです。
とても興味深いテーマです。
楽しみですね。
皆様のお越しをお待ちしています。
文責 坂本 有希