院長・整形外科 仲田 実生

 名前は実生 ”つねお”と読む。生を受けて五十余年、正しく呼ばれたことはない。
 「実るほど 頭(こうべ)を垂れる 稲穂かな」 の句からとったと、親父から聞いた。
 かくして、弟は「邦穂」という。妹は「かな子」では、残念ながらない。
 親の願望は常に欺かれるもの。財を実らせることなく、謙虚に世を渡る術も知らない。

 「人生は思い描いた通りになる。」

元全日空機長、石崎秀夫氏のエッセーに出てくる言葉である。
 氏が幼少のころ、軍事演習に飛来した戦闘機に魅せられてより、飛行機乗りになりたいとの夢を持ち続けた。模型飛行機少年から航空隊、敗戦後の絶望期をはさみ数々の障碍を越えて、あこがれの機長になれた話。
 一つの夢を持ち続けるとそのエネルギーが大きなパワーとなって、単なるあこがれがやがては現実のものとなるということ。  

石崎秀夫「機長のカバン」講談社1994年刊。書籍購入は  http://www.maruzen.co.jp/

 誤解してはいけない。「人生は思い通りになる」では決してない。藤原道長や平清盛ではないのだから。

 1985年、当院を始めたとき、いろんな意味でこころ温かい病院にしたいと思った。儲からなくてもいいと思った。15年後、思い描いたとおり、人間味あふれる職員の梁山泊と、清貧の松前病院ができた。

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