地域での重度障害者の自立生活について

(数値等は最新のものではありません。今は幾分上がってます。)

  1. 歴史
    1. 1960年以前は自宅で両親が介護するか極少ない施設に入所していた。座敷牢のような拘禁状況も存在した。公的介護は存在せず、家族のみによる介護であった。
    2. 1960年以後は高度経済成長期にあたり労働力の確保のため、各地に施設が建設され、また精神病院も肥大化した。地域からの障害者の刈込が実施され障害者の施設収容が進んだ。施設環境も劣悪で、外出の自由も束縛されていた。また、障害者に対する身体的・精神的虐待も存在した。たとえば女性障害者に子宮摘出などが行われた。主に優性思想による。
    3. 1970年半ば以降は障害者自身による自立運動が全国に広がった。教育の現場においても養護学校の義務化(すなわち健全者との別離の固定化)に反対したり、公共交通機関を障害者が利用することにより、バリアーフリーを実現しようとした。欧米での障害者の生活状況の情報が日本にも広まったこと、部落民などの被差別者による解放運動の影響、障害者運動を助ける健全者の存在等が理由である。
    4. 国・自治体等に交渉しさまざまな権利を勝ち取り、地域での重度障害者の自立が実現した。しかしながら一般的な制度ではとして定着したものではなく、一部の障害者が自立しているに過ぎない。
  2. 経済的な状況
    1. 重度障害者の自立をめぐる経済的状況
      1. 生活保護をとるかどうかが重要な分岐点となる。日本では北欧のように平均的な日本人としての生活は障害者には保証されていない。よほど個人財産があれば別だが、一般的には仕事が無い障害者にとってひとりで自立する為には生活保護をとるしかない。また、その方が生活の資金的には豊かであるのも事実である。組み合わせ方によっては就労による所得よりはるかに豊かな生活が送れる。
      2. 生活保護をとり、様々な加算、社会サービスを利用した場合の生活例(松山市の場合)を取り上げてみる。単身で41歳の重度障害者として計算すると現金給付としての月額は生活保護費12類で75,100円、住宅扶助が39,500(単身障害者の特別基準)、障害者加算、重度加算で39,860円、他人介護加算(1日4時間分の他人介護という意味)の大臣基準で139,200円(平成9年度)、松山市独自の介護激励金が10,000円、計303,660円の収入がある。大臣基準に当たるか知事基準に当たるかは介護の必要度による。全国で大臣基準は100名以下(平成10年11月の時点で200名になった)、松山で6名ほど獲得している。申請があった都道府県にしか厚生省の通達が行かない為、多くの県では利用されていない。障害基礎年金(1級で81,825)及び特別障害者手当て(26,230)は収入認定され、その分の生活保護費は削減されるが、年金と手当ては金融機関から受け取る。現物給付として自薦の登録ヘルパー及びガイドヘルパーがそれぞれ1日に付き20時間まで、および8時間が認められている(ガイドヘルパーを利用した場合は合わせて20時間まで)。それに他人介護基準の加算分の4時間をあわせると1日に24時間の介護保障がなされている(現実的には必要時間数)。専従の介護者を確保した時、現物給付については介護者に給与として振り込まれ、他人介護加算分を障害者から支払うとすると、介護者は手取り25万円ほどになる。その金額で3人雇えるほどだ。このあたりは北欧並だ。(但し健康保険は国保。労災無し。)その上公的介護としてのホームヘルパー(平均週2回から4回、1回につき2時間ずつ24時間介護の場合は無し)、訪問看護を加えると介護保証としては水準が高いといえる。だが、夜間については安全アラームが無く、危急時の連絡体制に問題は残る。(平成12年度予算で整備される予定)
    2. 松山市で平成11年度から1日20時間の保障
      1.  松山市では登録ヘルパー(自薦)が1日20時間に拡張された。全身性障害者で特別障害者手当をもらっている人の1日20時間の使い方はその日の行動通り使うこととなる。例えば、1時間外出が有れば、ガイド1時間、登録19時間となる。また、ガイドは上限を8時間とし、8時間を越えて外出していても超えた分は登録を使います。登録は、家事型介護型という区別は無くなり、一本になります。単価は家事と介護の中間程度で松山市からアイルに単価1,650円で支払われ、アイルから介護者に振り分けられる。
生活保護費 1類[光熱費等] 35,140円(平成14年度) 一般の生活保護
2類[食費等] 39,960円(平成14年度)
障害者加算 身障1,2 25,250円(平成14年度) 年金を収入認定する為の調整。
重度加算 常時介護 14,610円(平成14年度) 特別障害者手当てを収入認定する為の調整
所謂他人介護加算

14時間

大臣基準 139,200円(平成14年度) 介護の程度による。家族介助の基準もある。
知事基準 108,300円(平成14年度)
一般基準[市町村] 72,200円(平成14年度)
住宅扶助 松山市の基準 30,400*1.3で39,500円(平成14年度) 家賃が超えた分は保護費から自己負胆
ホームヘルパー 松山市社会福祉協議会 24回/週、1回2時間、家事援助 最近身体介護も実施
登録ヘルパー(自薦) 身体障害者療護施設「アイル」から(委託) 家事型2時間/日、時給1,300円、介護型2時間/日、時給1,600円共に夜間割り増しあり。あわせて1日に付き4時間まで。平成11年度から20時間までに拡張。ただし、基準の時給は1650円でアイルから自薦介護者に直接支払われる。 介護者は障害者が確保する。重度者にあっては6時間も認められた。→平成11年から全身性障害(両下肢2級以上)の人には20時間(単身または障害者のみの世帯)。家族同居の場合は1日4時間、週18時間が基準。
ガイドヘルパー(自薦) 松山市社会福祉協議会 時給1,380円。条件は外出。以前は行き先が限定されていたがその限定は解除された。(平成9年度)→時給の基準は3,780円だがそれに達していない(平成12年度) 18時間まで。
ぬくもり介護手当て 松山市独自 月額10,000 平成12年から介護激励金に名称変更。介護保健サービスを受けない人が対象。

その他

介護機器 社協等 必要に応じて  
住宅改造 社協 240万円まで貸し付け 年金等が収入認定されているがその分で返済
  1. 問題点
    1. 行政側から用意された自立生活プランではない為、重度障害者の中でも障害者運動ができるくらいの根性のある人しか自立できない。行政と折衝できる力があるか自立障害者と交流があり、ハウツーを教えてもらい援助を受けられる人のみとなっている。その結果、重度の知的障害がある場合や、重篤な疾病を抱えている場合は自己の生活や人生を共有できる他者の働きが必要となってくるがそのような形での自立は誠に乏しい。
    2. 障害者自身の問題。第1には自立のハウツーについての情報不足。養護学校でも教えないし、親も知らない。知ったとしても勇気が身につくような経験に乏しい。(世間に揉まれていない)
    3. 親・親戚および世間のハードル。味方が少なく、敵が多い。最も身近な親が敵となる。自立障害者を生み出したとしてもその親は世間から立派とは言われない。
    4. 味方が少ない。障害者の自立を支えてくれる健全者は少ない。税金の無駄遣いという人も多い。
    5. 現状にあっては一旦自立をすれば介護者の確保は比較的容易。高給を支払えるから。
  2. 自立することによるメリット
    1. 本人にとっては文字通り自分の人生を自分が決定できるという実感が湧き、生かされる状態から自ら生きていくという状態への転換ができる。
    2. 介護者を自ら育てていく、つまり命懸けの実習を通して非常に良質の介護者を生産してわけである。そうして健全者にも1つの生き方という命を吹き込んでいる。障害者との共生という文化を自ら創造している。
    3. 他の障害者へ明るい未来を提起している。戻る

以上、文責 盛次義隆

'00.5.01